問73.第八戒は、どれですか。

　問７３と問７４と問７５は、まとめて解説します。

　問７３にあるように、第八戒は「あなたは盗んではならない」です。「盗んではならない」。この掟は、所有権を保障するための掟です。神様は、すべてのものを造り、所有しておられるお方として、また、すべての人に富の管理を委ねられているお方として「盗んではならない」と言われるのです。

　問７４は、第八戒が求めている事を、次のように告白しています。「第八戒が求めている事は、私たち自身と他人との富や生活状態を正当に確保し、向上させることです」。「盗んではならない」という掟は、積極的に言えば「私たち自身と他人との富や生活状態を正当に確保し、向上させること」であるのです。

　では、私たちはどのようにして、「私たち自身と他人との富や生活状態を正当に確保し、向上させる」ことができるのでしょうか。その答えが、エフェソの信徒への手紙４章２８節に記されています。「盗みを働いていた者は、今からは盗んではなりません。むしろ、労苦して自分の手で正当な収入を得、困っている人々に分け与えるようにしなさい」。私たちは労苦して自分の手で正当な収入を得ることによって、さらには、その一部を困っている人に分け与えることによって、「私たち自身と他人との富や生活状態を正当に確保し、向上させること」ができるのです。

　問７５は、第八戒が禁じていることを、次のように告白しています。「第八戒が禁じている事は、何事であれ私たち自身または隣人の富や生活状態を不当に妨げる事、あるいはその恐れのある事です」。証拠聖句である箴言の御言葉を読むと、次の事が記されています。「快楽を愛すること」（２１：１７）、「酒と香油を愛すること」（２１：１７）、「大酒を飲み、身を持ち崩すこと」（２３：２０)、「惰眠を貪ること」（２３：２１）、「空を追うこと」（２８：１９）。このように第八戒は、盗みを働くことを禁じているだけでなく、自分の満足のために過度な贅沢をすること、暴飲暴食によって体調を崩すこと、怠け心から働かないことなどをも禁じているのです。