Q.31
- 問い
- 有効召命とは、何ですか。
- 答え
- 有効召命とは、神の御霊の御業です。これによって御霊は、私たちに自分の罪と悲惨とを自覚させ・私たちの心をキリストを知る知識に明るくし・私たちの意志を新しくするという仕方で、福音において一方的に提供されるイエス・キリストを私たちが受けいれるように説得し、受けいれさせてくださるのです。
神がわたしたちを救い、聖なる招きによって呼び出してくださったのは、わたしたちの行いによるのではなく、御自身の計画と恵みによるのです。この恵みは、永遠の昔にキリスト・イエスにおいてわたしたちのために与えられ、テモテへの手紙二 1章9節
小教理は、問30で「御霊がキリストの手に入れたあがないを私たちに当てはめてくださるのは、私たちの中に信仰を働かせ、それによって私たちを有効召命においてキリストに結びつけることによってです」と告白しました。
続く問31では「有効召命」について告白しています。「有効召命とは、神の御霊の御業です。これによって御霊は、私たちに自分の罪と悲惨とを自覚させ・私たちの心をキリストを知る知識に明るくし・私たちの意志を新しくするという仕方で、福音において一方的に提供されるイエス・キリストを私たちが受け入れるように説得し、受け入れさせてくださるのです」。
有効召命(effectual calling)とは「効果のある招き」のことです。復活されたイエス様は「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい」と弟子たちに命じられました(マルコ16:15)。その福音宣教を有効にしてくださる聖霊のお働きが「有効召命」であるのです。
その代表的な例が使徒言行録16章に記されているリディアという婦人です。パウロがフィリピの川岸で婦人たちに話をしていると、リディアだけが注意深く聞き、イエス様を信じて洗礼を受けました。なぜ、婦人たちの中でリディアだけがパウロの話を注意深く聞き、イエス様を信じることができたのでしょうか。聖書は、「主が彼女の心を開かれたので」と記しています。
福音を聞いて信じない人もいれば、信じる人もいるのはなぜか。それは、信じる人の心を主が開いてくださったからです。そのようにして、聖霊なる主は、福音における招きを有効な招きとしてくださったのです。アダムにあって堕落し、罪をもって生まれてくる人間は、自分の罪と悲惨とを本当の意味で(すなわち神様の御前に)自覚することはできません。また、生まれながらの人間はキリストを知ろうともしません。しかし、聖霊はそのような私たち人間の心を照らしてくださり、私たちの意志を新しくするという仕方で、福音において一方的に提供されているイエス・キリストを私たちが受け入れるように説得し、受け入れさせてくださるのです。
聖霊は、聖書の言葉を真実な言葉として証しすることによって、イエス・キリストを受け入れさせてくださいます。私たちは自分の力でイエス・キリストを信じたのではありません。聖霊の御業である有効召命によってイエス・キリストを信じさせていただいたのです。