問29.キリストが手に入れたあがないは、どのよ…

　問２９は、「キリストが手に入れたあがないは、どのようにして私たちに分け与えられますか」と問い、次のように告白しています。「キリストの手に入れたあがないが、私たちに分け与えられるのは、キリストの聖霊がそれを私たちに有効に当てはめてくださることによってです」。

　ここでの「あがない」は、キリストが御自身の命という代価を払って手に入れてくださった「罪と悲惨からの救い」のことです（問２０参照）。キリストがへりくだりと高挙とのどちらの状態においても、預言者、祭司、王の職務を果たしてくださったのは、私たちの贖い主として「罪と悲惨からの救い」を手に入れるためでした。ですから、キリストの手に入れた「罪と悲惨からの救い」は、私たちに分け与えられなければ意味がないわけです。

　では、キリストは、どのようにして、手に入れたあがないを、私たちに分け与えてくださるのでしょうか。小教理は、「キリストの聖霊がそれを私たちに有効に当てはめてくださる」と告白しています。証拠聖句であるテトスへの手紙３章５節、６節にはこう記されています。「神は、わたしたちが行った義の業によってではなく、御自分の憐れみによって、わたしたちを救ってくださいました。この救いは、聖霊によって新しく生まれさせ、新たに造りかえる洗いを通して実現したのです。神は、私たちの救い主イエス・キリストを通して、この聖霊をわたしたちに豊かに注いでくださいました」。

　十字架の死と復活によって、あがないを手に入れたイエス・キリストは、天へと上げられ、父なる神の右に座しておられます。そのイエス・キリストは、御自分の聖霊を私たちに与えることによって、御自分が手に入れたあがないを私たちに有効に当てはめてくださるのです。「有効に当てはめる」とは「効力があるように適用してくださる」ということです。父の霊であり、御子イエスの霊である聖霊が、私たちにキリストの手に入れたあがないを必ず効力があるように適用してくださるのです。ここに私たちの罪と悲惨からの救いの確かさがあるのです。

　もう一つの証拠聖句であるヨハネによる福音書１章１１節と１２節にはこう記されています。「言（ことば）は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。しかし、言（ことば）は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた」。

　ここでは、神の子となるために言（ことば）であるキリストを信じる信仰が求められています。しかし、その信仰さえも、キリストの聖霊によって与えられる賜物です（エフェソ２：８参照）。それゆえ、キリストの御名を信じる私たちは、キリストのあがないを、確かに分け与えられているのです。