解説 問14 罪とは何ですか。 答 罪とは、神の律法(りっぽう)に少しでもかなわないこと、あるいは、それに違反することです(1)。 Q.14. What is sin? A.Sin is any what of conformity unto, or transgression of, the law of God. (1)一ヨハネ3:4 罪を犯す者は皆、不法を行っています。罪とは不法のことです。 【解説】 ①小教理は、問13で、「わたしたちの最初の先祖たちは、彼ら自身の意志の自由にまかされていたところ、神に対して罪を犯すことによって、創造された状態から堕落しました」と告白しました。続く問14では、罪とは何であるかが問われています。答えはこうです。「罪とは、神の律法に少しでもかなわないこと、あるいは、それに違反することです」。「神の律法」とあるように、聖書が教える罪とは神様に対する罪のことです。聖書は「すべての人が罪人(つみびと)である」と教えていますが、それは神様との関係において、すべての人が罪人であるということです。たとえ、日本の国の法律に背いたことがなくても、神の掟に少しでも欠けており、背いている以上、神の御前に罪人であるのです。 ②「罪とは、神の律法に少しでもかなわないこと」とあるように、神様が求めておられるのは神の律法に完全に一致した服従です。神の律法に60パーセントぐらい一致しているというのではだめなのです。神の律法に100パーセント一致していなければだめなのです。しかも、一つの掟だけではなく、あらゆる掟にそのことが求められているのです。『ヤコブの手紙』の第2章9節から11節にこう記されています。「人を分け隔てするなら、あなたがたは罪を犯すことになり、律法によって違反者と定められます。律法全体を守ったとしても、一つでも過ちを犯すなら、すべてにおいて有罪となるからです。『姦淫するな』と言われた方は、『殺すな』とも言われました。そこで、たとえ姦淫はしなくても、人を殺せば、あなたは律法の違反者になるのです」。 ③この『ヤコブの手紙』の御言葉を読んで、自分は姦淫したこともないし、人殺しをしたこともないから大丈夫だと思われるでしょうか。しかし、神様はあなたの心をご覧になり、その思いをも裁かれます。神の律法は、思いと言葉と行いに及ぶのです。このことは、イエス様が山上の説教で教えられたことでもあります。『マタイによる福音書』の第5章21節と22節にこう記されています。「あなたがたも聞いているとおり、昔の人は、『殺すな。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。しかし、私は言っておく。きょうだいに腹を立てる者は誰でも裁きを受ける。きょうだいに『馬鹿』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、ゲヘナの火に投げ込まれる」。 また、第5章27節と28節にはこう記されています。「あなたがたも聞いているとおり、『姦淫するな』と命じられている。しかし、私は言っておく。情欲を抱いて女を見る者は誰でも、すでに心の中で姦淫を犯したのである」。 神の律法は、人を軽んじる思いや他人の妻を貪る思いをも裁かれます(ロ―マ7:14「私たちは、律法が霊的なものであると知っています」も参照)。そうであれば、神の律法に一致している人は誰もおらず、すべての人が神の御前に罪人であるのです。堕落以来、単なる人間は誰も、この世において神の戒めを完全に守ることができず、かえって、思いと言葉と行いにおいて、日ごとに神の戒めを破っているのです(小教理問82参照)。 ④最後に、罪には「怠慢の罪」があることを指摘しておきたいと思います。『ヤコブの手紙』の第4章17節に、「なすべき善を知りながら行わないなら、それはその人の罪です」とあるように、命じられていることを行わないことも罪であるのです。 【参考】 ①「不法」とは「法に背くこと。人の道にたがうこと」を意味する(広辞苑)。 ②新共同訳ヨハネの手紙一3:4「罪を犯す者は皆、法にも背くのです。罪とは、法に背くことです。」 ③ウェストミンスター小教理問答 問82 これらの神の戒めを完全に守れる人が、誰かいますか。 答 堕落以来、単なる人間は誰も、この世においてこれらの神の戒めを完全に守ることはできません。かえって、思いと言葉と行いにおいて、日ごとにそれらを破っています。 ④ウェストミンスター大教理問答 問24 罪とは何ですか。 答 罪とは、理性的被造物に対する規範として与えられた神の律法に少しでもかなわないこと、あるいは、それに違反することです(1)。 (1)Ⅰヨハ3:4、ガラ3:10、12 ⑤ウェストミンスター信仰告白 第6章「人間の堕落と罪とそれの罰について」 [6]あらゆる罪が、原罪も現実の罪も共に、神の正しい律法への違反であり、それに反するものであるから(1)、じっさい、必然的に、罪人に罪責をもたらし(2)、それによって罪人は神の怒り(3)と律法の呪い(4)とに縛られ、そのようにして、霊的(5)、地上的(6)、永遠的な(7)あらゆる悲惨と共に、死に服せしめられるのである(8)。 (1)Ⅰヨハネ3:4、(2)ローマ2:15、ローマ3:9、19、(3)エフェソ2:3、(4)ガラテヤ3:10、(5)エフェソ4:18、(6)ローマ8:20、哀歌3:39、(7)マタイ25:41、Ⅱテサロニケ1:9、(8)ローマ6:23 ⑥ウェストミンスター信仰告白 第16章「善い業について」 [7]再生していない人々によってなされる業は、それ自体としては神が命じておられる事柄であることもあり、そして自分自身にも他の人々にも有益なこともある(1)。とはいえ、それらは信仰によって清められた心から出るものではなく(2)、また正しい仕方で、すなわち御言葉に従ってなされてもいないし(3)、また正しい目的、すなわち神の栄光を目指してなされてもいない(4)。それゆえ罪深いものであって、神を喜ばせることはできないし、人を神から恵みを受けるのにふさわしくすることもできない(5)。それにもかかわらず、彼らがそのような業を怠ることは、なおさら罪深く、神の不興を招くものである(6)。 (1)列王下10:30、31、列王上21:27、29、フィリピ1:15、16、18、(2)創世4:5、さらにヘブライ11:4も参照、ヘブライ11:6、(3)Ⅰコリント13:3、イザヤ1:12、(4)マタイ6:2、5、16、(5)ハガイ2:14、テトス1:15、アモス5:21、22、ホセア1:4、ローマ9:16、テトス3:5、(6)詩編14:4、詩編36:3、ヨブ21:14、15、マタイ25:41〜43、マタイ23:23 罪を犯す者は皆、不法を行っています。罪とは不法のことです。ヨハネの手紙一 3章4節 2025年09月24日 村田寿和 牧師
問14 罪とは何ですか。
答 罪とは、神の律法(りっぽう)に少しでもかなわないこと、あるいは、それに違反することです(1)。
Q.14. What is sin?
A.Sin is any what of conformity unto, or transgression of, the law of God.
(1)一ヨハネ3:4 罪を犯す者は皆、不法を行っています。罪とは不法のことです。
【解説】
①小教理は、問13で、「わたしたちの最初の先祖たちは、彼ら自身の意志の自由にまかされていたところ、神に対して罪を犯すことによって、創造された状態から堕落しました」と告白しました。続く問14では、罪とは何であるかが問われています。答えはこうです。「罪とは、神の律法に少しでもかなわないこと、あるいは、それに違反することです」。「神の律法」とあるように、聖書が教える罪とは神様に対する罪のことです。聖書は「すべての人が罪人(つみびと)である」と教えていますが、それは神様との関係において、すべての人が罪人であるということです。たとえ、日本の国の法律に背いたことがなくても、神の掟に少しでも欠けており、背いている以上、神の御前に罪人であるのです。
②「罪とは、神の律法に少しでもかなわないこと」とあるように、神様が求めておられるのは神の律法に完全に一致した服従です。神の律法に60パーセントぐらい一致しているというのではだめなのです。神の律法に100パーセント一致していなければだめなのです。しかも、一つの掟だけではなく、あらゆる掟にそのことが求められているのです。『ヤコブの手紙』の第2章9節から11節にこう記されています。「人を分け隔てするなら、あなたがたは罪を犯すことになり、律法によって違反者と定められます。律法全体を守ったとしても、一つでも過ちを犯すなら、すべてにおいて有罪となるからです。『姦淫するな』と言われた方は、『殺すな』とも言われました。そこで、たとえ姦淫はしなくても、人を殺せば、あなたは律法の違反者になるのです」。
③この『ヤコブの手紙』の御言葉を読んで、自分は姦淫したこともないし、人殺しをしたこともないから大丈夫だと思われるでしょうか。しかし、神様はあなたの心をご覧になり、その思いをも裁かれます。神の律法は、思いと言葉と行いに及ぶのです。このことは、イエス様が山上の説教で教えられたことでもあります。『マタイによる福音書』の第5章21節と22節にこう記されています。「あなたがたも聞いているとおり、昔の人は、『殺すな。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。しかし、私は言っておく。きょうだいに腹を立てる者は誰でも裁きを受ける。きょうだいに『馬鹿』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、ゲヘナの火に投げ込まれる」。
また、第5章27節と28節にはこう記されています。「あなたがたも聞いているとおり、『姦淫するな』と命じられている。しかし、私は言っておく。情欲を抱いて女を見る者は誰でも、すでに心の中で姦淫を犯したのである」。
神の律法は、人を軽んじる思いや他人の妻を貪る思いをも裁かれます(ロ―マ7:14「私たちは、律法が霊的なものであると知っています」も参照)。そうであれば、神の律法に一致している人は誰もおらず、すべての人が神の御前に罪人であるのです。堕落以来、単なる人間は誰も、この世において神の戒めを完全に守ることができず、かえって、思いと言葉と行いにおいて、日ごとに神の戒めを破っているのです(小教理問82参照)。
④最後に、罪には「怠慢の罪」があることを指摘しておきたいと思います。『ヤコブの手紙』の第4章17節に、「なすべき善を知りながら行わないなら、それはその人の罪です」とあるように、命じられていることを行わないことも罪であるのです。
【参考】
①「不法」とは「法に背くこと。人の道にたがうこと」を意味する(広辞苑)。
②新共同訳ヨハネの手紙一3:4「罪を犯す者は皆、法にも背くのです。罪とは、法に背くことです。」
③ウェストミンスター小教理問答
問82 これらの神の戒めを完全に守れる人が、誰かいますか。
答 堕落以来、単なる人間は誰も、この世においてこれらの神の戒めを完全に守ることはできません。かえって、思いと言葉と行いにおいて、日ごとにそれらを破っています。
④ウェストミンスター大教理問答
問24 罪とは何ですか。
答 罪とは、理性的被造物に対する規範として与えられた神の律法に少しでもかなわないこと、あるいは、それに違反することです(1)。
(1)Ⅰヨハ3:4、ガラ3:10、12
⑤ウェストミンスター信仰告白 第6章「人間の堕落と罪とそれの罰について」
[6]あらゆる罪が、原罪も現実の罪も共に、神の正しい律法への違反であり、それに反するものであるから(1)、じっさい、必然的に、罪人に罪責をもたらし(2)、それによって罪人は神の怒り(3)と律法の呪い(4)とに縛られ、そのようにして、霊的(5)、地上的(6)、永遠的な(7)あらゆる悲惨と共に、死に服せしめられるのである(8)。
(1)Ⅰヨハネ3:4、(2)ローマ2:15、ローマ3:9、19、(3)エフェソ2:3、(4)ガラテヤ3:10、(5)エフェソ4:18、(6)ローマ8:20、哀歌3:39、(7)マタイ25:41、Ⅱテサロニケ1:9、(8)ローマ6:23
⑥ウェストミンスター信仰告白 第16章「善い業について」
[7]再生していない人々によってなされる業は、それ自体としては神が命じておられる事柄であることもあり、そして自分自身にも他の人々にも有益なこともある(1)。とはいえ、それらは信仰によって清められた心から出るものではなく(2)、また正しい仕方で、すなわち御言葉に従ってなされてもいないし(3)、また正しい目的、すなわち神の栄光を目指してなされてもいない(4)。それゆえ罪深いものであって、神を喜ばせることはできないし、人を神から恵みを受けるのにふさわしくすることもできない(5)。それにもかかわらず、彼らがそのような業を怠ることは、なおさら罪深く、神の不興を招くものである(6)。
(1)列王下10:30、31、列王上21:27、29、フィリピ1:15、16、18、(2)創世4:5、さらにヘブライ11:4も参照、ヘブライ11:6、(3)Ⅰコリント13:3、イザヤ1:12、(4)マタイ6:2、5、16、(5)ハガイ2:14、テトス1:15、アモス5:21、22、ホセア1:4、ローマ9:16、テトス3:5、(6)詩編14:4、詩編36:3、ヨブ21:14、15、マタイ25:41〜43、マタイ23:23