問12.神は、創造された状態の人に、どのような…

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Q.12

問い
神は、創造された状態の人に、どのような特別の摂理の行為をとられましたか。
答え
人を創造された時、神は人に、完全な服従を条件として命を契約されました。しかし、善悪を知る木の実を食べることは、死を制裁として禁じられました。

解説

問12 創造された状態にあった人に対して、神は、どのような特別な摂理(せつり)の行為をされましたか。

答 神は人を創造されたとき、完全な服従を条件として、人と命(いのち)の契約に入(はい)られ、死を罰として、善悪の知識の木から食べることを禁じられました(1)。

Q.12. What special act of providence did God exercise toward man in the estate wherein he was created?

A.When God had created man, he entered into a covenant of life with him, upon condition of perfect obedience; forbidding him to eat of the tree of the knowledge of good and evil, upon the pain of death.

(1)ガラテヤ3:12 しかし律法は、信仰をよりどころにしていません。「律法の掟を行う者は、その掟によって生きる」のです。

 創世2:17 ただ、善悪の知識の木からは、取って食べてはいけない。取って食べると必ず死ぬことになる。」

【解説】

①小教理は、問11で、摂理の御業について告白しました。続く問12では、神様が、創造された状態の人にとられた特別な摂理の行為について告白しています。「神は人を創造されたとき、完全な服従を条件として、人と命の契約に入られ、死を罰として、善悪の知識の木から食べることを禁じられました」。

②「人を創造されたとき」とは、人がまだ罪を犯していない状態のときのことです。神様は御自分のかたちに似せて人を造られ、命の契約を結ばれました。「命の契約」とは『創世記』の第2章17節の「園のどの木からでも取って食べなさい。ただ、善悪の知識の木からは、取って食べてはいけない。取って食べると必ず死ぬことになる」という神の掟のことです。神様ははじめの人アダムに、エデンの園のすべての木から取って食べてよいが、園の中央にある善悪の知識の木からは決して食べてはならないと言われました。そのようにして、神様は人が御自分に完全に従うかどうかを知ろうとされたのです。「善悪の知識の木から取って食べてはならない」という掟は、人が神様に完全に服従するかどうかを知るためのテストであったのです。園のどの木から取って食べてよいのに、なぜ善悪の知識の木からは取って食べてはいけないのか?それは神様が「食べてはならない」と禁じられたからであるのです。

③『創世記』の第2章17節には、人が完全に服従したとき、すなわち、善悪の知識の木から取って食べなかったとき、命を与えるとは記されていません。しかし、『創世記』の第2章9節を読むと、園の中央には善悪の知識の木だけでなく、命の木も生えていたと記されています。善悪の知識の木の横に生えていた命の木は、アダムが神の掟に従ったときに与えられる命の象徴であったのです。そして、その命とは、神様との完全な親しい交わり、永遠の命であったのです。

④神様は、アダムに、「善悪の知識の木からは、取って食べてはいけない」と禁止命令を与え、「取って食べると必ず死ぬことになる」と警告されました。神の御心は、アダムが禁じられた木の実から取って食べないことによって御自分に完全に従い、命を得ることであったのです(申命30:19「私は今日、天と地をあなたがたに対する証人として呼び出し、命と死、祝福と呪いをあなたの前に置く。あなたは命を選びなさい。そうすれば、あなたもあなたの子孫も生きる」参照)。

【参考】

①ウェストミンスター大教理問答

問20 創造された状態にあった人に対する神の摂理とは何ですか。

答 創造された状態にあった人に対する神の摂理は、彼を楽園に置き、そこを耕すことを命じ、地の産物を食べる自由を与え(1)、被造物を彼の支配下に置き(2)、彼の助けのために結婚を定めたこと(3)、また、彼に御自身との交わりを与え(4)、安息日を制定し(5)、本人自身の完全で永続的な服従を条件に、彼と命の契約を結び(6)、命の木をその保証とされたこと(7)、死を罰として、善悪の知識の木から食べることを禁じられたことです(8)。

(1)創2:8、15、16、(2)創1:28、(3)創2:18、(4)創1:26−29、創3:8、(5)創2:3、(6)ガラ3:12、ロマ10:5、(7)創2:9、(8)創2:17

②ウェストミンスター信仰告白 第7章「人間に対する神の契約について」

[1]神と被造物の間の隔たりは非常に大きいので、理性的被造物は、自らの創造者である神に服従すべき義務をじっさい負っているとはいえ、自らの幸いまた報いとして神を喜ぶということは、神の側のある自発的なへりくだりによるのでなければ、決してあり得ないことであろう。そしてこのへりくだりを神は契約という方法で表すことをよしとされたのである(1)。

(1)イザヤ40:13~17、ヨブ9:32、33、サムエル上2:25、詩編113:5、6、詩編100:2、3、ヨブ22:2、3、ヨブ35:7、8、ルカ17:10、使徒17:24、25

[2]人間と結ばれた最初の契約は行いの契約であって(1)、そこでは命がアダムに、そして彼にあって、その子孫に、約束された(2)。完全な、本人自身の服従を条件として(3)。

(1)ガラテヤ3:12、(2)ローマ10:5、ローマ5:12~20、(3)創世2:17、ガラテヤ3:10

神である主は、人に命じられた。「園のどの木からでも取って食べなさい。ただ、善悪の知識の木からは、取って食べてはいけない。取って食べると必ず死ぬことになる。」創世記 2章16節〜17節
村田寿和 牧師