「信条を告白する教会ーウ小教理問答書大会公認訳ー」
- 日付
- 説教
- 豊川修司 牧師
- 聖書 ペトロの手紙一 3章13節~22節
日本聖書協会『聖書 新共同訳』
ペトロの手紙一 3章13節~22節
秩父教会 2024年5月12日(日)説教
第1回 ウエストミンスター小教理問答書説教1
説教題 「信条を告白する教会 ―大会公認訳ウ小教理問答書を解説―」
聖書箇所 ペテロの手紙一 3章13節~22節(中心は16節)
序
説教題をみますと、何か硬そうなイメージですが、これは改革派教会の説教の特徴を言い表している内容なのです。それは日本キリスト改革派教会ができた由来(歴史)を知ることになります。
そこで今日の説教は、日本キリスト改革派教会の大会で採択された訳ウエストミンスター小教理問答書大会公認訳を解説し、聖書が教える教理について理解する機会にしたいと願っています。
第1章 正統なる改革派教会の形成
1.聖書が語るキリスト教理解
今日の聖書箇所はペテロの手紙一3章13節~22節(中心は16節)です。この箇所はキリスト教弁証論として有名な聖書箇所です。
「あなたがたの抱いている希望について説明を要求する人には、いつでも弁明できるように備えていなさい。3:16 それも、穏やかに、敬意をもって、正しい良心で、弁明するようにしなさい。そうすれば、キリストに結ばれたあなたがたの善い生活をののしる者たちは、悪口を言ったことで恥じ入るようになるのです。」
さて、今日は秩父教会の説教です。昨年9月23日(土・休日)に秩父に5教会共同墓地礼拝に伺いました。秩父は、因習が深く残る場所ではないでしょうか。秩父霊場参りがとても盛んな地域です。そのような地域でキリスト教宣教を続けることは困難があると思いますが、そのような中でも伝道に励んでおられる秩父教会の皆様と花小金教会の協力があって、宣教が祝福されていることを聞いています。
このみ言葉を聞いて、多くの経験をしたと思います。家族に、友達にキリスト教を伝える時に遭遇することであり、また、反対に家族や友達からキリスト教について聞かれることがあると思います。その時の大切な姿勢が今日のみ言葉です。
「弁明できるように備えなさい」とは、別の言葉では、「弁明」は、聖書の立場を明らかにすることで、相手の聖書への誤解を解くことです。
聖書を正しく理解するためには、教理問答書を学ぶことが近道です。
2. 歴史
(1)世界史から
古くは、礼拝堂の建築のために免罪符を売り始めました。かごに入れたお金がチャリンと音がすれ天国に行くことができると教えました。修道士のルターは95か条の質問状をだして問題点を指摘しました。それ以降、カトリック教会の教えに疑問を持ったブッザー、カルヴィンらがジュネーブで宗教改革を行いました。
カルヴィンらの教えはヨーロッパからアメリカに渡り、日本の改革派信仰を持つ神学者に影響を与え、プリンストン神学校に留学して改革派神学を学びました。彼らは日本に改革派神学に基づく教会を造ろうと、日本基督改革派教会を創立したのです。
(2)国内における歴史(日本基督改革派教会史)
①日本基督公会
日本に最初にできたプロテスタント教会は、横浜にあります「日本基督公会」という教会です。巨大な外国船船舶が停泊する横浜港さん橋国際客船ターミナル」(通称大さん橋の)直ぐ近くです。
1827年アメリカから宣教師がやってきました。ヘボンやブラウンという長老系、改革派系の宣教師たちです。彼らは自分たちの出身である信条を携えてきましたが、日本のクリスチャンたちは教会が外国の信条で布教さえることび抵抗し、簡易信条を持つ教会になりました。詳しくは簡易信条に使徒信条を付けたものです。
②日本基督教団
戦時下、多くの教会は、日本基督教団に合同させられました。そこの信条は簡易信条に使徒信条を付け足した簡単なものでした。それゆえに、大世帯の教会を束ねるには、この信条では次第にほころび始めました。
そこで、創立者たちは日本基督教団から脱退し、日本キリスト改革派教会を設立したのです。
③固い基盤の上に立つ教会 創立宣言
改革派教会の創立宣言に、創立の経緯や主張点が明確に述べられています。大きな主張点は2つです。一つは食らうにも飲むにも何事をするにも神の栄光を現すという世界観・人生観の樹立です。2つ目は「我らは地上に於いて、見えざる教会の唯一性が、一つ信仰告白と、一つ教会政治と、一つ善き生活とを具備せる「一つなる見ゆる教会」として具現せらる可きと確信す。是、日本キリスト改革派教会の第二の主張点なり。
一つ信仰告白と、一つ教会政治と、一つ善き生活こそ改革派教会が目指すところで、長老主義政治を行うこと、信条を告白する教会をすること、が大きな特徴です。
第2章 ウエストミンスター信条(小教理問答書の採用)
1.ウエストミンスター信条を採用する理由
創立宣言によれば、教会の信条にウ信仰告白、ウ大教理問答書、ウ小教理問答書・ハイデルベルグ信仰問答書などを採用しました。教会の信条にウ信仰告白が採用された理由は、『宗教改革時に作られた30数個の信条の中で、ウエストミンスター信仰規準は、聖書において教えられている教理の体系として最も完備しているもの』だからです。(教理の体系に関する解説:チャールズ・ホッジの講演記録(大会記録第43回)
2.大会公認訳の解説から抜粋(袴田康裕著)
袴田康裕先生は解説のなかで次のように語っています。
『ウエストミンスター小教理問答の最大の特徴は、実際的に使用に優れ、教理の有益性を有効に教えられるところにあります。具体的特徴としては、次の二点を挙げることができます。第一は、記憶力の弱い人でお覚えられるように、できるだけ短くしているところです。第二は、答えを問から独立して、それ自体で意味の完全な文としていることです。
また、小教理問答は、家庭で用いられることを意識して作成されました。会議終結からそれほど経っていない1674年に作成されたトマス・ヴィンセント(Thomas Vincent)の小教理問答の解説は、家長が小教理を家庭で教える助けとして執筆されています。このことからも分かるように、小教理は教会だけでなく、家庭での信仰教育の手段として作成されました。そのために、平易で簡潔に書かれているのです。』
第3章.ウェストミンスター小教理問答書の具体的な学び
1.週報に問答書解説を掲載
代理牧師が奉仕していた高島平キリスト教会では、教会員から、「交読するだけでは解らない。解説をして欲しい」との要請を受け、週報の裏面を用いて一週一問の解説を始めました。ウエストミンスター小教理の解説 2011.7.3 問1~2013.8.13 問107(この間、大会執事活動委員会で東日本大震災支援および代理として新所沢伝道所再建に奔走、神学的支えになった)
第4章.大会公認訳ウエストミンスター小教理問答書の採用と説教
先に第3章で述べたウエストミンスター小教理問答(2011.7.3 問1~2013.8.13 問107)を、大会公認訳に書き直し、問答書毎、順次説教することにしました。
国立聖書教会での説教は、8月に牧師が赴任しますので、わたしの説教は7月で終了します。それまで可能なら、ウエストミンスター小教理問答書大会公認訳を用いて説教をしたいと思います。
本説教をとおして、次の2点を継承したいと思います。
① 日本キリスト改革派教会の教派誕生の由来を、宗教改革、ヨーロッパの宗教改革、ピューリタン、アメリカ合衆国、日本への宣教の歴史を学び、日本キリスト改革派教会の信仰のアイデンティティーを探求しすること。
② 日本キリスト改革派教会の成立過程と神学的闘いを学び、継承すること。
③ 特に若い世代に改革派教会を形成することを伝えること。
まとめ
ウエストミンスター小教理問答書大会公認訳の学びの説教の採用。
冒頭でもお話したように、新座志木教会は、ウエストミンスター小教理問答書大会公認訳を用いて説教をしました。
「3:15 心の中でキリストを主とあがめなさい。あなたがたの抱いている希望について説明を要求する人には、いつでも弁明できるように備えていなさい。3:16 それも、穏やかに、敬意をもって、正しい良心で、弁明するようにしなさい。」
お祈り
恵み深い主イエス・キリストの父なる神様、2024年5月12日の礼拝をお与えくださり、まことにありがとうございます。今日は説教において、わたしたちの教会が信条を告白し、伝道と教会形成をする教派であることを教えて下さり重ねて感謝申し上げます。
今年1年も秩父教会の福音宣教が祝福されますように。また、地域の異教の習慣と闘う会員の信仰と生活の上に、主の御力が与えられますようにお祈りいたします。アーメン。
聖書箇所 ペテロの手紙一 3章13節~22節(中心は16節)
この箇所はキリスト教弁証論である
「3:13 もし、善いことに熱心であるなら、だれがあなたがたに害を加えるでしょう。3:14 しかし、義のために苦しみを受けるのであれば、幸いです。人々を恐れたり、心を乱したりしてはいけません。3:15 心の中でキリストを主とあがめなさい。あなたがたの抱いている希望について説明を要求する人には、いつでも弁明できるように備えていなさい。3:16 それも、穏やかに、敬意をもって、正しい良心で、弁明するようにしなさい。そうすれば、キリストに結ばれたあなたがたの善い生活をののしる者たちは、悪口を言ったことで恥じ入るようになるのです。」
参考 簡易信条
簡易信条主義(かんいしんじょうしゅぎ)とは、キリスト教会の信条、信仰告白を簡易にし、その規範性、拘束性を最小限のものとする主義。公会主義の合同教会である日本基督教団は必然的に簡易信条であると言われる[1]。
これは日本基督教会の指導者である植村正久牧師によって唱えられた。彼は『信条制定に関する意見』で、日本にアウクスブルク信仰告白、ドルト信仰基準、ウェストミンスター信仰告白など「化石然たる信条」は必要ないとし、「化石然たる信条を固守し、将来に争いを起し、分裂を生ずるの種子をこの伝道の春に播し置かんとするに至りては、余輩ますますその不可なるを知る。」「日本国キリスト教徒は、その信条をなるべく自由寛大にして十分に進歩の余地を与え、協和の根基を固うせざるべからず。」と述べている。[2]。
日本基督教会の信条[編集]
我ら(われら)が神(かみ)と崇(あが)むる主(しゅ)イエス(いえす)・キリスト(きりすと)は、神(かみ)の独子(ひとりご)にして人類(じんるい)のため、其罪(そのつみ)の救いのために、人(にん)となりて苦(くるしみ)を受け、我ら(われら)が罪(つみ)のために、完全(まった)き犠牲(いけにえ)をささげ給(たも)えり。凡(およ)そ信仰に由(よ)りて、之(これ)と一体となれるものは赦(ゆる)されて義とせらる。 キリスト(きりすと)における信仰は、愛により作用(はたら)きて人の心(こころ)を清む(すむ)。また父(ちち)と子(こ)と共(とも)に崇(あが)められ、礼拝(れいはい)せらるる聖霊は、我ら(われら)が魂(たましい)にイエス(いえす)・キリスト(きりすと)を顕示(けんじ)す。その恵み(めぐみ)によるに非ざれ(ひざれ)ば、罪(つみ)に死(し)にたる人(ひと)、神の国に入る(はいる)ことを得ず(えず)。古(いにしえ)の預言者、使徒および聖人(せいじん)は、聖霊に啓廸(けいてき)せられたり。新旧両約(しんきゅうりょうやく) の聖書(せいしょ)のうちに語り(かたり)たまう聖霊(せいれい)は、宗教上(しゅうきょうじょう)のことにつき誤謬(あやまり)なき最上の審判者(しんぱんしゃ)なり。往事(いにしえ)の教会は聖書(せいしょ)によりて、左(さ)の告白文(はくぶん)を作(つく)れり。我ら(われら)もまた、聖徒(せいと)がかつて伝えられたる信仰の道を奉じ、讃美と感謝とを以って、その告白に同意を表す。(以下使徒信条)。[1]